The Turtle That
Returns Each Spring
春ごとに還る、一頭のウミガメ
Marine Stories·3 Year Observation·Chatan Bay
毎年三月の満月の頃、北谷町の小さな入り江に、一頭のアオウミガメが姿を現す。
地元の漁師たちは、その甲羅の傷跡から彼女を「モモ」と呼んでいる。初めて記録されたのは2023年のことだが、Rapid Coralが定点観測を始めたのは2026年、私たちの活動の初年度だった。
水中カメラと水上ドローンを併用し、モモが入り江に滞在する約六週間の行動範囲を記録した。産卵のためではなく、この入り江でしか採れない特定の海藻を食べるためだけに、彼女は遠く外洋から戻ってくるらしいことが分かってきた。
珊瑚礁は、こうした「特定の場所にしかない食性」を支える基盤でもある。もし入り江の珊瑚が失われれば、モモの旅も終わってしまうかもしれない——そう考えると、一頭のウミガメの物語は、珊瑚礁全体の健やかさを映す鏡のようにも思える。
今年もまた、三月の満月が近づいている。私たちは静かに、入り江へ向かう準備を進めている。
執筆・撮影
Rapid Coral フィールドチーム — 沖縄県中頭郡北谷町にて記録
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